Snapdragon搭載 Surface Pro 12in レビュー ― ARMでも"普通に使える"を超えて、モバイルの主力へ ―

筆者は世界に16名しかいない Surface MVP の一人であり、Microsoft認定のIT Proとして長年Surfaceを検証してきた。
ちなみに今回レビューする Surface Pro 12インチ(Snapdragon/ARM) のほかに、 Surface Pro 13インチ(Intel Core Ultra) も米Microsoftから供給されているため、特定のアーキテクチャに肩入れする理由はない。
その上で、ARM版Windows、およびSnapdragon搭載 Surface Proを使い込んだ率直な評価を述べていきたい。

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチ レビュー ― ARMでも

ARMネイティブアプリは軽快そのもの

Office、Microsoft Edge、Chrome、Firefox、PowerToysなど主要アプリはARMネイティブ化が進んでおり、動作は非常に軽快。
ブラウジング、文書作成などのビジネスシーンにおける日常作業は驚くほどサクサク動く。
画像編集ソフトや動画再生ソフトもARMネイティブ対応が増えており、エコシステムは確実に成熟している。

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチ レビュー ― ARMでも

UFSストレージでも体感は十分高速

Surface Pro 12inはストレージがUFSである。 しかし、この点を気にする必要はほぼなく、アプリ起動やファイル操作は快適で、モバイル用途ではNVMeとの差を体感する場面はほぼない。

しいていえば、 Surface Pro 13インチなどのNvMeモデルは、M.2 2230 NVMeを用意すれば、背面のふたを開けるだけで換装できるが、Surface Pro 12inはこのようなカスタマイズは不可能である。

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチ レビュー ― ARMでも

x64/x86アプリも問題なく動作

エミュレーションによるx64/x86アプリも安定して動き、普段使うアプリで困ることはほぼない。
ただし、システムに食い込むソフトウェアはARM対応である必要があるほか(アンチウィルス、バーチャルマシン等)、20年以上前のレガシーアプリや、Windowsのシステムドライブに直接書き込む古い設計のソフトはインストール段階で弾かれることがあった。

ハードウェア互換性は依然として注意点

アプリは動いても、デバイスドライバーや仮想化機能は互換性がない。
特に問題になりやすいのが プリンター。多くのプリンターはx64/x86用ドライバーしか提供しておらず、ドライバーはエミュレーションできないため、
・印刷できない
・印刷はできてもスキャナーが使えない
といったトラブルが起こりやすい。

回避策:
・PDFを対応機に移して印刷
・Microsoft IPP Class Driver を使う
・クラウド印刷前提モデルを選ぶ
などがあるが、学生や初心者が1台目としてARM機を選ぶのはおすすめしない

デスクトップPCがあるなら互換性問題はほぼ解決

自由に使えるデスクトップPCやゲーミングPCがある環境なら、互換性問題はそちらで吸収できるため、ARM機の弱点はほぼ気にならない。
モバイルはARM、重い作業や互換性はデスクトップという使い分けが非常に快適。

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチ レビュー ― ARMでも

iPad/Androidタブレットより圧倒的に"PC寄り"

iPadやAndroidタブレットと比べると、Surface Pro 12インチは圧倒的にPCとの親和性が高い。
ファイル操作はWindowsそのもので、USB機器や外部ディスプレイとの接続も柔軟。
アプリの自由度も高く、タブレットでありながら"制限の少ないPC"として扱える。

Surface MVPとして多くのユーザー相談を受けてきたが、「タブレットの軽さとPCの自由度を両立したい」というニーズには、このデバイスが最も適していると感じる。

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチ レビュー ― ARMでも

Copilot+PCのAI機能も便利

・Click to Run(クリックして実行)
・ペイントの「コクリエーター」
・フォトのAI高画質化
など、使い始めると手放せなくなる便利さがある。

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチ レビュー ― ARMでも

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチ レビュー ― ARMでも

Surface Penが使えるのも大きな魅力

デジタイザーペンが使えるのはSurfaceの強み。
Copilot+PCのAI機能と組み合わせると、ペンを使いたくなる場面が増える。

ファンレス最高。静かで吸気しない安心感

Snapdragonモデルは完全ファンレス。
静かであるだけでなく、吸気しないためホコリを吸わない点が非常に嬉しい。寝床でも安心して使える。

筆者の趣味はクルーズ旅行なのだが、クルーズ旅行中はベッドと共にPCを使う場面が多い。
シューシューうるさくファンが回るPCだと「ほこりも一緒に吸ってる」ことになるのだが、ファンレスなら気にならないのがよい。

Type‑C to HDMIも概ね問題なし

Type‑C to HDMI出力も基本的には問題なく動作。
ただし、一部のアダプターでは映らないものがあったため、確実に動くものを常に持ち歩いている。

パフォーマンスは実用上まったく問題なし

体感としては、むしろARM機のほうがレスポンスが良い場面も多い。
Surface Pro 13インチ(Intel)も所有しているが、モバイル用途ではすでに Surface Pro 12インチ(Snapdragon)がメイン になりつつある。

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチ レビュー ― ARMでも

おすすめできる人

・すでにデスクトップPCを持っている
・モバイル用途の軽快なWindowsマシンが欲しい
・タブレットより"PCらしさ"を重視する
・ARM版Windowsの特性を理解している

おすすめしない人

・Windows PCを初めて買う初心者
・プリンターや特殊デバイスを多用する人
・互換性問題を自力で解決できない環境の人

総評

Snapdragon搭載 Surface Pro 12インチは、ARM版Windowsの成熟を強く感じさせるデバイス。
軽快な動作、静音性、携帯性、そしてPCとしての自由度を兼ね備え、モバイル用途では非常にバランスが良い。
Surface MVPとしての視点から見ても、「ARMだから不安」という時代は終わりつつある
適切な環境さえあれば、モバイルの主力マシンとして十分に成立する一台。
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