では、実際に海外で医療を受けると「具体的にいくらかかるのか」をご存じだろうか?
ひどい腹痛で○線をさまよった筆者が、実際で海外で医療を受けたら「いくらかかったのか」をここで公開しよう。

●シチュエーション
筆者が医療を受けたのは「クルーズ船内」である。このWebでも何度か紹介しているが、「クルーズ船内は海外扱い」であり、つまり医療費も海外扱いになる。
正直、腹痛で医者にかかったことなどいままでに一度もない。
しかし、この時は発熱37.8~38.8度を彷徨い、嘔吐とおなかを突き破るような激痛に数時間耐えた挙句、19時過ぎに船内で医療を受けた次第だ(19時過ぎ、というのもポイントになる)。

●医療内容
医療内容は・診療(medical service)
・薬の処方(3種類、平均約2日分)
・注射2本
である。
金額の内訳は後で紹介するが、注射は思ったよりも安い。
むしろびっくりしたのは、アメリカでは注射は「おしりに打つもの」らしく、尻に2本打たれた(いや、打っていただいた)。
頭が正常に動作している状況であれば、生まれて初めて尻に注射を打たれることに恐怖を覚えたかもしれない。
しかし、正直クルーズ旅行の日程を考えると、1日でも早く治したかったので、むしろ即効性があるかもしれない注射をしてもらえるだけありがたかった。
ちなみに薬も日本の錠剤をイメージしていると、少し残念に思える形状をしており、見たからに「これ効くの?」という代物だった。

●医療費の内訳を大公開...
ということで、医療費の内訳を公開しよう。先の項目ごとの内容に従えば、以下のようになる。
・診療 230ドル
・薬の処方(約2.5日分) 17.96ドル
・注射2本 72.79ドル
◎合計 320.75ドル
ちなみに、1ドル150円換算すると、以下のようになる。
・診療 34,500円
・薬の処方(約2.5日分) 2,694円
・注射2本 10,918円
◎合計 48,122円
・・・調子が悪いさなか、この金額を聞いてさらに「げんなり」させられた。
ちなみに、メディカルセンターの滞在は30分ほどだったが、医者そのものが自分を触ったのは3分弱だ。
正直、日本で仮に保険適用せずに診療を受けたとしても、絶対にこの値段にはならないだろう。
なお、クルーズ旅行においてはカード払いが基本になるが、一般的なカードにおける海外決済は事務手数料として1.6%~3.8%程度かかることも忘れてはいけない。
今回、19時過ぎという診察時間外であったため、「診療費用が割り増し」されている。
この事実を踏まえると、もし診療時間内であれば多少は節約できのだが、根本的な話をすれば、やはり 「旅行保険」に入っておくべき というのが結論になる。

●旅行保険の適用範囲に注意
ちなみに、「"海外"旅行保険がクルーズ旅行中の船内医療に適用されるか否か」は、その保険における「海外」の定義にもよることを忘れてはいけない。クルーズ船内は基本的に海外扱いになることは述べたとおりだが、ではクルーズ船に乗っていると「国外に出ていることになるのか」と言われればそうではない。
え? と思う人もいると思うが、日本を周遊して海外に立ち寄るクルーズ旅行においては、ほとんどの場合「クルーズ旅行のスタート日に出国手続きを行うわけではない」のである。
つまり、クルーズ旅行において、この出国日~入国日レンジに入っていない日に船内医療を受けた場合、「"海外"旅行保険」としては適用されない可能性もあるのだ。
この辺の仕組みについては、旅行保険会社によっても異なる可能性があるので、問い合わせて確認してほしいが、日本を周遊+海外寄港のクルーズ旅行は、少々特殊であることに注意が必要だ。
